てんちゅーの備忘録

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令和元年度司法試験予備試験論文再現答案(民訴・A評価)

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今回は民訴です。

これで下4法も終わりですね。

 

答案枚数は3枚・A評価でした。

 

やはり設問2は正確には115条類推の場面だったみたいですね。

私は直接適用で書いてしまいましたが問題なかったようです。

 

第1 設問1

1まず、本件訴訟が通常共同訴訟(民事訴訟法(以下法名省略)38条)であればX2のみで訴訟追行できるのに対して固有必要的共同訴訟(40条)であれば当事者適格が認められずY主張のとおり却下されることとなる。そこで、通常共同訴訟と固有必要的共同訴訟の判断基準が問題となる。

(1)民事訴訟は実体権の実現・処分のプロセスであるから、実体法上の管理処分権の帰属態様によって決すべきであると解する。

 もっとも、当事者適格は訴訟法上の権能でもあるから訴訟政策的判断も必要である。

 そこで、通常共同訴訟か固有必要的共同訴訟かは実体法上の管理処分権の帰属態様を基準として訴訟法的観点から修正を図ることで判断すべきであると解する。

(2)本件において、本件訴訟物は売買契約に基づく目的物引渡請求権としての所有権移転登記手続請求権であるところ、本件土地は売買契約により、X1およびX2の共有(民法249条)となっている。したがって、本件訴えは共有権に基づく訴訟であり、X1およびX2が共同で行使しなければ認められないという性質を有する。そして、訴訟法的観点からは、X1およびX2が共同で訴訟追行しないと手続保障の充足が図れないといえる。

(3)よって、本件訴えは、固有必要的共同訴訟といえる。

2 そうだとすると、X1は訴訟追行しておらず、当事者適格が認められないから訴えは却下されるとも思える。

  もっとも、X2の子であり相続人たるA(民法887条)に訴訟承継(124条1項1号参照)させることで瑕疵を治癒できないか。

(1)そもそも訴訟承継するためには、本件訴えが訴訟係属している必要があるところ、X1は訴え提起後Yに訴状が送達前に死亡しているから訴訟係属していないのではないか問題となる。

ア 訴訟係属とは、特定の当事者間の特定の事件が特定の裁判所に審判されうる状態にあることをいう。

  そして、被告に訴状が送達された時点で特定の裁判所に審判されうる状態にあるといえる。

  よって、被告に訴状が送達された時点で訴訟係属すると解する。

イ 本件において、X1はYに訴状が送達される前に死亡しているから訴訟係属はしていない。

3 よって、Aは訴訟承継できないとも思える。

 しかし、上記のように解するとこれまで訴訟追行してきた本件訴えが無駄となり訴訟不経済となるから妥当ではない。

(1)この点、訴え提起後被告に訴状が送達される前に原告が死亡した場合には潜在的な訴訟係属が生じていたと解することも可能である。

 そこで、かかる場合には当然承継の根拠条文である124条1項1号の趣旨を類推適用することで訴訟承継できると解する。

(2)本件においても、X1は訴え提起後Yに訴状が送達される前に死亡しているから潜在的な訴訟係属が生じていたといえる。

(3)よって、Aは本件訴えを訴訟承継することができる。

4 以上より、X2側としてはAに本件訴えを訴訟承継させるという対応をとるべきである。

第2 設問2

 既判力は前訴判決の判決主文たる権利・法律関係に生じるところ(114条1項)、売買契約の存在は前訴の主要事実であるから既判力が生じ、Zの主張は前訴判決により排斥されるとの主張が考えられる。

 では、Zに既判力が拡張されるか。

1 既判力の正当化根拠は十分な手続保障に基づく自己責任であるところ、かかる責任を負いうるのは当事者のみである。

  したがって、既判力は当事者にのみ及ぶのが原則である。(115条1項)

2 もっともZは「目的物を所持する者」(115条1項4号)にあたり、既判力が拡張されないか。

(1)「目的物を所持する者」に既判力が拡張される根拠は、かかる者は固有の法的利益を有さないから手続保障を及ぼす必要がない点にある。

そこで。「目的物を所持する者」とは固有の法的利益を有さず、専ら当事者のために目的物を所持する者をいうと解する。

(2) 本件において、ZはYから贈与(民法549条)を受け所有権移転登記をしているところ、かかる贈与は強制執行を免れる目的でBとZ間の通謀によりなされたものであるから、通謀虚偽表示(民法94条1項)にあたり無効である。したがって、Zは無権利者であり、本件土地を所有する固有の法的利益は認められない。

(3)よって、Zは固有の法的利益を有さず、専ら当事者たるYのために目的物を所持する者といえ「目的物を所持する者」といえる・

3 以上より、Zの主張は前訴判決によって排斥されるべきである。

以上

 

以下、再現時コメント

自己評価 A

まずは民訴から先に解いた。

直前答練の第一問に当事者の確定がらみの問題が出ており、その時は手も足も出なかったので復習しといてよかったと心底思った。

設問2は「信義則違反」および「争点効」にはふれるなとのことだったので、主観的範囲の問題だということは気づけた。

しかし、判決前にZに贈与しているのに直接適用にしてしまい、時的限界も書くべきだったと思う。

民訴は苦手な受験生も多いと聞くので相対的に上位に入っていればと思う。