てんちゅーの備忘録

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令和元年度司法試験予備試験論文再現答案(刑訴・D評価)

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今回は刑訴です。

 

ケアレスミスが大きく響いた科目といっていいと思います。

 

答案枚数は3枚・D評価でした。

 

丁寧にあてはめもできた思った科目なのでかなり悔しいです。

 

敗因分析をしっかりしなければいけない科目だと思います。

 

第一 本件勾留が適法と言えるためには、逮捕が先行している必要がある。(逮捕前置主義)(刑事訴訟法(以下法名省略)207条1項本文)

もっとも、本件では通常逮捕(199条)がなされる前にPらは甲を任意同行している。かかる任意同行は適法といえるか。

1 この点、任意同行は明文で規定されていないが、被疑者のプライバシーや名誉に配慮する点で有益といえる。

  そこで、被疑者の真の同意があれば任意処分(197条1項本文)として適法であると解する。但し、被疑者の真の同意がなければ、任意同行に名を借りた実質逮捕にあたり令状主義(憲法35条前段)に反し違法であると解する。

  具体的には任意同行を求めた時間や同行の態様、同行の必要性等を総合考慮して判断すべきである。

2 本件において、確かに、本件事件から極めて近接した時点で本件事件の被害品であるV名義のクレジットカードを所持しているから、Pらは甲から詳しく話を聞く必要があったといえる。

  しかし、同行を求めたのは午前3時という深夜であり、甲が「俺はいかないぞ。」と任意同行に応じない意思を明確に表現しているのに対して、Qが先にパトカーの後部座席に乗り込み、甲の片腕を車内から引っ張り、Pが甲の背中を押し。後部座席中央に甲を座らせ、その両側にPとQが功を挟むようにして座るという甲の移動の自由を強く制限するような態様で同行がなされている。

  かかる事情に照らせば、甲の同意は認められないと解する。

3 よって、本件任意同行は実質逮捕にあたり令状主義に反し違法である。

第2 では先行する逮捕が違法な場合に勾留が認められるか。

1 逮捕前置主義の趣旨は2段階の要件審査による司法的抑制の徹底にある。そうだとすると先行する逮捕が適法であることを前提としているといえる。

  もっとも違法性が軽微な場合にまで勾留が認められないとするのは捜査の必要性を害し妥当でない。

  そこで先行する逮捕の違法性が重大な場合にのみ勾留は認められないと解する。

2 本件において、甲は窃盗事件という「長期三年以上の懲役…にあたる罪」(210条1項)にあたる被疑者であり、被害品を所持しているから「罪を犯したことを疑うに足りる十分な理由」が認められる。さらに、甲は、「仕事も家もなく、寝泊まりする場所を探しているところだ。」とPらに答えていることからその場で身柄を確保しなければ逃亡のおそれが認められるから「急速を要し、裁判官の逮捕状を求めることができないとき」といえる。

  よって本件任意同行がなされた時点で緊急逮捕の要件が備わっていたといえるから先行する逮捕の違法性は重大とはいえない。

第3 そうだとしても、勾留は身柄拘束期間(203条以下)の範囲内か。

1 この点、違法な実質逮捕がなされた場合、かかる実質逮捕の時点を基準として算定すべきである。

2 本件において、実質逮捕は令和元年6月5日午前3時なされているところ、同月7日午前8時30分H地方検察庁に送致され、同日午後1時に勾留請求されている。勾留請求は身体拘束時から72時間以内になされているものの、検察官への送致は48時間を超えている。(203条1項)

3 よって、身柄拘束期間の範囲内とはいえない。

第4 以上より、甲の勾留は違法である。

以上

 

以下、再現時コメント

自己評価 B

問研の問題まんまだと思った。受験生のほとんどができていると思う。職務質問の適法性は聞かれてないと思ったので書かなかったが1行くらいで軽く触れても良かったかもしれない。

ほとんどできたと思ったのに最後の実質逮捕の日にちを間違えるという痛恨のケアレスミス。試験中あれほど確認したはずなのに。これがなければAいけたかもしれないと思うとめちゃくちゃ悔しい。