てんちゅーの備忘録

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令和元年度司法試験予備試験論文再現答案(民法・F評価)

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憲法の次は民法です。

 

かなり日付が開いてしまいましたが、今日からまたコツコツとアップしていきたいと思います。

 

 3枚程度、F評価でした。

 民法でやらかしがなければ合格していたのかと思うと悔やんでも悔やみきれないところがあります。

ですが、それも実力のうち。

来年こそは。

 

第1 設問1 

1 DはCに対して所有権(民法(以下省略)206条)に基づく返還請求権としての本件建物収去本件土地明渡請求をしていることが考えられる。

(1)まず、Dは本件土地の所有権を有するか。

この点、Aは本件土地をCに贈与(549条)しており、Aの子であるBはAの財産を包括承継するから(887条、896条)Bは甲土地に対して無権利者となる。

したがって、BD間の抵当権設定契約は無効であり、かかる抵当権に基づいた競売も無効となり、Dは所有権を取得できないのが原則である。

(2)もっとも、DはB名義の登記を信頼して抵当権を設定している。そこで94条2項によりDB間の抵当権設定契約は有効となり、その結果Dは所有権を取得しないか。

ア そもそもDB間には通謀が存在しないから94条1項を直接適用することはできない。

 しかし、94条2項の趣旨は虚偽の外観作出につき帰責性ある権利者の犠牲の下、かかる外観を信頼した第三者を保護するという権利外観法理にある。

 そこで、①虚偽の外観②権利者の帰責性③第三者の信頼という要件を満たせば94条2項を類推適用できると解する。

 そして、権利者の帰責性に照らし「善意」とは単純善意というと解する。

  イ  本件において、B名義の登記という虚偽の登記が存在する。次に、Aから贈与を受けたにも関わらず、長年登記することを怠ったというCの帰責性が認められる。そして、DはCの贈与を知らなかったから善意といえる。

  ウ  よって、94条2項によりDB間の抵当権設定契約は有効となり、その結果Dは所有権を取得する。

(3)したがって、DはCの登記の欠缺を主張する正当の利益を有する者といえ、177条の「第三者」にあたるからCはDに対して抵当権設定登記を対抗できない。 

よって、Dの請求は認められるとも思える。

2 これに対して、Cは本件建物を存続させるための法律上の占有権原を主張することができるか。

(1)まず、Cは本件土地を時効取得(162条1項、2項)したと主張することが考えられる。

しかし、贈与を受けた平成20年4月1日から「10年間」経過していないからかかる主張は認められない。

(2)次に、Cは本件土地の法定地上権(388条)を取得したと主張することが考えられる。

ア 法定地上権の趣旨は建物収去に伴う社会経済上の不利益を回避する点にある。

 そこで、①抵当権設定時に土地上に建物が存在したこと②土地と建物の所有権を同一人が有していたこと③土地または建物に抵当権が設定されたこと④抵当権の実行により土地と建物の所有権が別人に帰することになったことという要件を満たせば建物の所有権を有する者は法定地上権を取得すると解する。

イ 本件において、抵当権設定時に本件土地上に本件建物が存在していた。また。本件土地と本件建物の所有権は共に競売までC所有だった。そして、本件土地に抵当権が設定されている。さらに競売によって本件土地はD所有、本件建物はC所有となっている。

ウ よってCは法定地上権を取得する。

3 以上より、DのCに対する請求は認められない。

 

第2 設問2 

CはDに対して、所有権に基づく妨害排除請求権としての抵当権抹消登記請求をしていると考えられる。

1 上述のとおりDは177条の「第三者」にあたるからCは本件土地に対する抵当権設定をDに対抗できないのが原則である。

2 もっとも、Cは抵当権設定当時にDは本件土地上にCが本件建物を建築していたことを知っていたからいわゆる背信的悪意者にあたり「第三者」にあたらないと主張することが考えられる。

(1)この点、177条は自由競争を前提とするから悪意者はなお保護に値する。

もっとも、自由競争の範囲を逸脱する背信的悪意者については信義則(1条2項)上、登記の欠缺を主張する正当な利益を有さず「第三者」にあたらないと解する。

(2)本件において、確かに、Dは抵当権設定時に本件土地上にCが本件建物を所有して居住していたことを知っていた。しかし、BからCは本件土地を無償で借りているに過ぎないとの説明を受けて抵当権設定をしているからCに対する嫌がらせ目的等は有していなかったといえる。

よって、Dは背信的悪意者にあたらず、「第三者」といえる。

3 以上より、Cのかかる請求は認められない。

以上

 

以下再現時コメント

自己評価 F

現場ではできたと思ったけど思いっきりやらかした科目の一つ。

よくよく考えてみると2重譲渡が問題となるのだから94条2項類推なんて問題になる訳がない。

論点思考になってしまっていた。

そして、設問2も時効取得がかけていない。

設問1では時効取得に触れたのになぜ設問2では検討しなかったのか…。

強いていうなら法定地上権に触れられただけましかなという程度である。