有給取得義務化でも結局有給とれないんじゃないの?
来年の春から有給取得が義務化されるようです。
ですが、私は残念ながら結局有給取得率は今までとはそれほど変わらないのではないかと見ています。
それはなぜか。
その理由をこれからお話したいと思います。
1 仕事の量は変わらない
有給をとるということは会社の就業時間を休むということです。
つまり、有給で休んでいる間は、その分どんどん自分の仕事が溜まっていきます。
次の日には次の日の仕事があります。
有給で休んだ分の仕事はどこでやるか。
残業や休日出勤で賄うしかない、ということになります。
有給が増えても残業が増えたら元も子もないじゃないか、というのが多くの人の考えでしょう。
もちろん、有給取得日は他の人に仕事を任せるという手段もあるかもしれません。
しかし
取引先の詳細な情報やプロジェクトの進捗など係内で共有されている会社は少ないのではないでしょうか。
それはつまり、自分にしかできない仕事となってしまい、他の人に任せられない仕事として残ってしまうのです。
また、仕事を任せられた人はこう思います。
「なんで、自分が…。」と。
日本人は陰湿な人が多いですから(個人的見解)そういう人は必ずいます。
そうなると職場の雰囲気が悪くなり、有給取るのやめておこうかな…。という考えに至ります。
2 有給取得を「悪い」と思っている人がまだまだ多い
日本の企業は有給に対して非常に厳しい感情を抱いているような気がします。
有給を取得しようと申請すると
「有給とれるなんて仕事をサボっているのか。」
といい仕事を押し付けてくる上司がいるという話をよく耳にします。
むしろ、それは逆で仕事ができるから有給がとれるのであって決して仕事をサボっているわけではないと思います。
そして、もしその人ばかりが有給をとっていて他の人がほとんど有給をとれないのであればそれは上司が仕事量の配分をミスっているということです。
上司の中でも有給を取ることに難色を示す人が多いという理由のひとつとして、上司が新人の頃は仕事が第一だというモーレツ社員が多かったというのがあります。
そんな時代では有給がたくさん残っている人が仕事に対するやる気があると見られていたでしょうからね。
しかし、今は時代が違います。
もっと、社内で有給をとってもいいような雰囲気づくり、ベテラン社員の意識改革が大事なのじゃないかと思います。
3 そもそも人手が足りていない
私が有給取得率が上がらない根本的な問題は「社内の人手が足りていない」ことにあると思っています。
中小企業なんかであれば、有給をとられると仕事が回らなくなるのです。
それを現場の社員も十分分かっているから周りに気を使うあまり有給が取れなくなっているのです。
現在日本では、どこの企業も人手不足だと言われています。
かつて大人気を誇っていた「公務員」でさえ、人手不足で現場は四苦八苦しています。
(まあこれには首長が政治パフォーマンスとして人件費削減なんかをしているというのも原因にありそうです。)
有給率を上げる根本的な解決法は「人手不足の解消」にあると思います。
そうなると、結局「人口減少」「少子高齢化」という現代の問題をいかに解決していくかというところにたどり着きます。
世界の人口(特に中国)は増え続けているとのことですから日本も何かしら手のうちようはあるはずだと思うのですが、まあそこは政治家に頑張ってもらいたいと思います。
4 有給買取制度があってもいいのでは?
これまで見てきたように結局有給取得率が上がらないのであれば、もっと雇用者目線に立って「有給買取制度」なんてものもあっていいのではないかと思います。
私も働いていた頃、同期とランチを食べている際に
「有給とれずムダになるだけやからいっそのこと金で買い取ってくれたらいいのに。」
と月残業100時間近くの同期がぼやいていたのを思い出します。
(その同期は元気にやっています。まだまだ残業は多いそうですが。)
結局のところ、国は大手の大企業しか目に見えていないのではないでしょうか。
日本の大半の企業は中小企業なのですから、もっと日本の実情に合わせた政策を考えるべきです。
(だからプレミアムフライデーも失敗するんだよ…。)
おっと、心の声が漏れてしまったようです。
5 最後に
有給取得率が上昇しないとしても社会全体が働き方改革に前向きに取り組んでいるという点は評価すべきではないかと思います。
ですが、理想論ばかり語るだけであっては何の意味もありません。
義務化したら有給取得率上がるやろという楽観的な思想ではいけないということです。
もっと地に足の着いた議論を展開していかなければならないと思います。