ようやくこの時が来た!経団連が「就活ルール」廃止に言及。
以前、新卒一括採用のメリット・デメリットを指摘する記事を書きました。
ここ最近、経団連が新卒一括採用などのいわゆる「就活ルール」を見直すよう検討しているようです。
この動きには、遂に経団連が重い腰を上げ始めたという評価ができるかと思います。
「就活ルール」が廃止されることによって就活市場が具体的にどう変わっていくのか考えてみたいと思います。
1 採用時期が通年化する
特定の時期に採用活動を行わなくなるということは通年で採用活動を行うようになるということです。
確かに、これまでに何百人もの人数を採用してきた大企業からしてみると採用コストが上がるということはあるかと思います。
しかし、これまでの「就活ルール」はあくまで指針であるにとどまります。
新卒一括採用がその企業に最適であるというのであれば、これまで通りの採用活動を行えばいいのです。
その企業に魅力を感じている学生であれば、他の企業がいくら早く採用活動をしていたとしても入社してくるでしょう。
もちろん、大企業だから当然入社してくるだろうと高を括っているようでは有能な人材を採用することは難しいかもしれませんが。
話がそれましたが、採用が通年化することによって学生などの採用される側はじっくり業界研究・企業研究をすることができます。
つまり、私が一番デメリットだと感じていた「雇用のミスマッチ」を減らすことができるのです。
また、「就活ルール」の廃止の背景には、多様な人材を確保するという目的もありますから既卒者にもチャンスが生まれます。
大学卒業後、数年夢や目標にチャレンジしてから社会人として働くという選択肢も出てきます。
この効果は採用される側にとっては大きなメリットだといえそうです。
2 学生の姿勢が変化する
「就活ルール」の廃止は学生の意識の改革にもつながっていくと考えています。
新卒一括採用の行っていた理由の一つとして採用してから社内で人材を育てていけばいいという考え方があったことが挙げられます。
ところが、これからは多様な人材確保、言い換えれば即戦力となる人材の確保が求められるようになってきます。
そうだとすると、学生時代ろくに勉強もせず遊びほうけていた学生はいくら売り手市場といえども自分の入社したい企業に入社することは困難となります。
遊んでコミュケーション能力を磨いていたというのであれば別ですが、ほとんど何もスキルを持たない状況で他の就活生と闘うことになるのですから採用側が興味を持ってくれないのは当然の結果だといえます。
そこで、入社するためには自分を磨いていかなければいけない、そうした雰囲気が生まれてくるでしょう。
もちろん、大学生は「人生の夏休み」と言われるぐらいですから思いっきり遊んでいいと思いますが、それと同時に自分が将来どういう社会人になりたいのか・なりたい社会人になるためには今何をすべきかということを常に意識することが必要になります。
しかし、いくら考えろと押し付けられても所詮は学生です。
世の中のこと何も分かっていない状況なのですから自分の将来を具体的に考えることは難しいことです。
なので、大人(大学・企業)がそれを考えるための素材を提供しバックアップをすることが重要になります。
具体的には産学連携による企業人を招いた特別講義を積極的に取り入れる。
中・長期のインターンシップを大学1年生の時期から行えるようにする。
などが良いのではないでしょうか。
自分磨きの必要性に気づいた学生であれば積極的に利用してくるでしょう。
もちろん大前提として、学業に悪影響を与えないために実施時期については考慮しなければならないことは言うまでもありませんが、夏休みの長期休暇等を利用するなどすれば十分実施可能だと思います。
このように実際に社会の実情に触れることによって自分がどこで・どんな風に社会人として生活しているのか具体的にイメージすることできるようになります。
「雇用のミスマッチ」もますます減らせるのではないでしょうか。
さらにいうと、一度「雇用のミスマッチ」により退職してしまった既卒者に対しても何かしらのリカバリーが必要だと思います。
そのような人に対してもインターンシップに参加できるようにするなどの措置をとるべきです。
若者に対する支援がまだまだ不足しているのが日本の現状ですから、これを改善していくことが必要です。
3 時代にそぐわない制度は改革する勇気を
少し本題とは外れますが、 「前例踏襲」という言葉をご存知でしょうか。
前にあった事例と同じように今回も行うことを指しますが、
公務員なんかは前例踏襲のオンパレードだと思います。
ただ、単純に前の事例を真似しているかというとそうではありません。
公務員時代に「去年こうやって処理してるから今年も同じようにしよう。」と思って
テキトーに決裁をあげたことがありました。
課長はそのことを見抜いていたのかもしれませんが、私に決裁を突き返しながらこう言いました。
「ほんまにこの仕事が必要やと判断して決裁あげとるんか?予算がついていて前年度もやっているからと言ってそれが必要な仕事やとは限らへんねんぞ。」と。
当時の私はそんなこと言われても…。という状態でしたし、その決裁は後日通ったので事業は必要なものだったのですが、
今考えると「必要なものかどうか判断し不要なのであれば辞める勇気も時には必要」だということを課長は教えてくれたのだと思っています。
「就活ルール」も同じで、長年続いている慣行だからといって今でも必要なものとは限らないのです。
不要だと思うのであれば勇気をもって廃止をするべきです。
個人的には「就活ルール」は不要だと思っていますし、経団連の会長の判断は勇気ある英断だと思います。
4 最後に
新卒一括採用はまだまだなくならない慣行だと思っていましたが、どうやら私の見込み違いだったということになりますね。
今回の議論を皮切りにして
採用する側もされる側もお互いにwin-winの形で終わることのできる就活の形をどんどん議論していけるような雰囲気に変化していってほしいです。
毎年のようにルールが変更され就職活動に勤しんでいる学生さんも大変だとは思いますが、めげずに頑張っていきましょう!