法律系科目はまず全体像の理解を!公務員試験合格に必要なこと⑤
前回は数的処理の勉強法をお伝えしました。
今回は法律系科目の勉強法をご紹介したいと思います。
1 法律科目の勉強法
1 入門書で全体像を理解する
それぞれ、いきなり問題集に入る前にまずは入門書を読んでそれぞれどういうものなのか大まかに理解することが大切です。
法律科目は個々の論点が複雑に絡まっているので、本の後ろのほうで学習する内容が前のほうで当然の前提となっていることも多いです。
ここが法律科目でつまづく一番のポイントです。
なので、分からなくてもとにかく前へ前へ進むことを意識しましょう。
そうすれば初めて読んで理解できなかった所も後で「なんだこういうことだったのか」とスッキリ理解することができます。
2 どこを勉強しているのかを常に意識する
よく法律科目は体系を理解しろと言われます。
つまり、どこの分野のどの論点を勉強しているのかを意識するということです。
例えば、民法では「第三者」という文言が問題になることがあります。
同じ「第三者」という言葉ですが、条文によって全く意味が異なります。
民法177条の「第三者」は「登記の欠缺を主張する正当の利益を有する者」と定義されるのに対して
民法545条1項の「第三者」は「解除から生じた法律関係を基礎として解除までに新たな権利を取得した者」と定義されます。
このように全然違うわけです。
初心者からすると「なんで?」と思うのところではないでしょうか。
これが法学独特の考え方であり、おもしろいところだと思います。
なので、体系を理解し、自分がどこを勉強しているのか意識することが大切なのです。
3 基本書・判例集は必要か?
基本的に基本書と呼ばれる学者が書いた本や判例集は不要です。
なぜなら、公務員試験ではそこまで深い知識は聞かれないからです。
過去問で問われているところを覚えておけばなんとかなります。
細かいところを勉強していたらきりがありません、他の科目の勉強時間にあてるべきです。
問題を解いていくなかでどうしても理解できないところが出てきたら図書館で調べたり本屋で立ち読みする程度でいいと思います。
2 各科目の勉強法
1 憲法
憲法は他の法律科目に比べ条文数も覚える量も少なく、出題範囲もある程度絞られてきます。
法律系科目の中でも非常に学習しやすい科目だあることから得点源とすべき最重要科目と言えるでしょう。
まずは入門書としてこちらの伊藤真の憲法入門をオススメします。
伊藤塾という予備校の先生をしており、業界では有名な先生です。
講義口調で書かれているため話が頭に入ってきやすいです。
憲法のことがなんとなくわかったらスーパー過去問ゼミ(スー過去)です。
あとは本番までひたすらスー過去を繰り返します。
憲法はこれでほぼ満点が取れると思います。
2 民法
民法は範囲が膨大な科目であることが特徴です。
条文も1000条を超え、100条もない憲法と比べると途方もない数字に感じられるかもしれません。
しかし、実は民法は同じ考え方をいろいろなところで使えますので実は思うほど覚えることが多くないのではないかというのが私の感想です。(といっても覚えることは多いですが。)
民法では取引の安全・当事者の利益保護という発想が根底にあります。
選択肢に迷ったらそのような原理・原則に戻って考えることも大切になってきます。
私は使用しませんでしたが、郷原豊茂の民法過去問まるごと講義生中継も評価が高い参考書です。
ページ数でいうと伊藤真の民法入門よりも多いので伊藤真の民法入門で理解できなかった所もこちらを読めば理解できるかもしれません。
その後はひたすらスー過去です。
2分冊になっていますが、根気よく頑張りましょう!
3 行政法
実は「行政法」という法律は存在しません。
えって感じかもしれませんが、行政が関与する法律のことを講学上「行政法」と呼んでいるにすぎません。
ちなみに食品衛生法や建築基準法なんかも行政法のうちのひとつです。
藤田先生は最高裁判所の判事をされていることもあったほど高名な行政法の先生です。
上記で基本書は不要と書きましたが、基本書ほど分厚くなく初めて行政法を勉強する人向けに書かれていますのでとても読みやすいです。
行政法が分かったようでなんかイマイチだなあという人にもオススメできる良書です。
行政法は大きく分けて行政法総論と行政救済法の2つに分かれますが、行政法入門を読んだら行政救済法の分野から勉強するほうが勉強が捗ると思います。
それは行政法総論が抽象度の高い理論が多いことに比べて、行政救済法は判例学習の要素が強く問題となる場面をイメージしやすいという特徴があるからです。
問題演習はやっぱりスー過去!
とにもかくにもスー過去を何回もまわしましょう。
4 刑法・労働法
政令指定都市の試験では刑法・労働法を出題されることもあります。
この2つは出題数も少ないので時間がなければ捨てるのも手です。
勉強するにしても過去問を解くより大雑把に理解する程度で十分かと思います。
細かく勉強するよりも憲法・民法・行政法の勉強時間にあてましょう。
ただし、裁判所事務官を第一志望としている場合は、刑法を勉強しておいたほうがいいです。
裁判所事務官は専門科目で経済原論と刑法のどちらかを選択できるのですが、刑法のほうが難易度が低く満点がとれます。
刑法を勉強するときは井田先生の入門刑法学が分かりやすくおススメです。
3 まとめ
・入門書で大まかに理解をしてから問題演習に移行する
・とにもかくにもスー過去
・憲法・民法・行政法をメインに場合によっては刑法・労働法は捨てる
次回は経済系科目の勉強法をご紹介します。