野生のメダカはなぜ絶滅しつつあるのか。
成体でも4cmほどしかない小さな魚、メダカ。
メダカと聞いてその姿が浮かばない人はいないというほど有名な魚ですが、今では環境省のレッドリストに掲載され、「絶滅危惧種」に指定されるほど、野生のメダカは非常に珍しい魚となってしまいました。
一昔前であれば、小川や田んぼを覗くとサッと逃げていくメダカを見ることができたと言いますが、現代ではその姿を見ることもほとんどありません。
今回は、なぜ野生のメダカがいなくなってしまったのか、その理由を深掘りしてみたいと思います。
メダカをペットとして飼育している方・飼育してみようかなと思っている方にはぜひ一度読んで頂きたいテーマです。
1 生息環境の変化
メダカは流れの速い大きな川などにはあまり生息しておらず、田んぼと田んぼの間を流れる用水路などのような流れの緩やかな場所に生息しています。
体の小さいメダカは非力なので、流れの速い川なんかだと体力を消耗してしまい力尽きてしまうのです。
その主な生息地場所である用水路は現在ではコンクリートで「きれいに」舗装され、生物が住めなくなっています。
侵食などによる土砂の流出を防ぐなど用水路をコンクリートにするメリットもたくさんあるのですが、
コンクリートで舗装された結果として生物のエサであるプランクトンや避難場所である水草が育たなくなりました。
そんな状況では生物がいなくなってしまうのは火を見るよりも明らかです。
また、農地改良事業により用水路から田んぼの中に進入するのが困難になっている点は特に致命的なんだそうです。
私の家の近所にメダカが生息する用水路がありますが、そこはコンクリートで舗装されていないことはもちろん、周辺に植物が生い茂っています。
(周辺の田んぼがどうやら耕作放棄地となってしまっているみたいでしたので、それはそれでまた別の問題が…。)
たとえ災害を防ぐなどの大義名分があったとしても、一方的に生物の住処を奪ってしまうのはいかがなものでしょうか。
2 水質の変化
メダカは水質や気温の変化に非常に強い魚です。
そのため、水槽を立ち上げる際のパイロットフィッシュとしてもよく用いられます。
野外水槽で飼育していてほとんど放置しているというメダカの飼い主も多いのではないでしょうか。
そんなメダカですがいくら環境の変化に強いといっても清流にしか生息することができません。
人間による水質汚染によって姿を消したと言われます。
農業をする際に使用する農薬や生活排水が川へ流されます。
工場が多くある地域では、工場排水による水質悪化もあります。
その汚染された水が流された川に生息していたメダカが耐え切れず、絶滅してしまうのです。
ゴミが多量に浮遊しており、濁っており見た目からも決してきれいとはいえない川も増えました。
水質汚染の問題は水俣病やイタイイタイ病などによって表面化され、人間にしっぺ返しがきてしまった形であるとも言えます。
水は人間を含め全ての生き物にとって必要なものです。
人の手できれいな水を守っていかなくてはなりません。
3 外来生物の侵入
様々な理由で外国から輸入され、日本で野生化してしまった外来生物。
外来生物は日本の固有種の存続を脅かす危険な存在でありますが、メダカも例外なく外来生物によって生息範囲を減らしています。
メダカの敵となる外来生物にはブラックバス・ブルーギル・カダヤシなんかがいます。
ブラックバスなんかは食用として日本に持ち込まれたそうですが、それが瞬く間に日本全国に広まってしまいました。
カダヤシはメダカとよく似た姿をしており、野生のメダカを捕まえたと思ったらカダヤシだったなんていう話もよく聞きます。
メダカをよく知らない人がみれば完全にメダカに見えるでしょうね(笑)
これらの外来生物は現在では「特定外来生物」として行政による駆除が行われていますが、駆除数よりも繁殖数のほうが多いというのが現状です。
それくらい爆発的に増えます。(日本に天敵がいないという理由もあると思います)
日本の川に外来生物しかいないなんていう未来がもしかしたらあるかもしれません。
4 最後に
メダカも野生ではなく今やペットショップ等お店で見る機会のほうが増えたのではないでしょうか。
メダカに限らず、人間の手によって絶滅の危機に瀕している生物はたくさんいます。
生物の多様性を後世のために維持していくために対策を行政に丸投げなんてことにせず(行政にできることなんてほんの少しです)、自分に何ができるかを一度考えてみてはいかかでしょうか。
メダカを飼ってみたいなあと考えている方はこちらも読んでみてください!
asitaikimasu1993.hatenablog.com